そろそろ国民健康保険料の納入通知書が届いているころかと思います。
2020年限定の話ではありますが、今年はちょっと注意が必要なんですよ。
新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料の減免という制度が多くの自治体で実施されているのです。
あまり報道されていませんのでご存知のない方が多いんですよ・・・自治体もあまり適用されたくないのか積極的なアナウンスはしていないようです。
なお、この制度は厚生労働省から自治体に要望書は出されていますが、実施は任意のため全ての自治体が行っているわけではありませんのでご注意ください。(多くの自治体は要望どうりに実施するとのこと)
また、こういった制度は申請制となっているため、要件に該当していても申請しなければ減免を受けることはできません。
ですから要件を満たす方は忘れずに申請しましょうね。
今回は「新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料の減免について」解説していきます。
なお、こちらの記事は厚生労働省からの自治体への減免実施の要望書を元に書いております。自治体によっては多少条件等が異なっているケースもありますので詳細はお住まいの地区の市役所等にお尋ねください。
国民健康保険料の減免が受けられる対象者
それではまず今回の制度の対象となる方から見ていきましょう。
大きくわけて2つのパターンがあります。
新型コロナウィルスに感染
まずは新型コロナウィルスに感染して主たる生計維持者が死亡、または重篤な傷病を負った世帯の方です。
重篤な傷病とは1ヶ月以上の治療を要する場合とされています。
なお、新型コロナウィルス感染症による死亡や重篤な傷病かそれ以外によるものなのかというのは死亡診断書もしくは医師の診断書の記載内容によるとされています。
そのため、死亡診断書等に「肺炎」との記載だったりすると新型コロナウィルス感染症によるものと判断されないケースがでてきますのでお気をつけください。
この場合は以下のような取り扱いとなります。
国民健康保険料の扱い
国民健康保険料を全額免除
このケースでは全額免除となります。
かなり大きいですね。
申請しないと適用されませんのでお気をつけください。
新型コロナウィルスの影響で収入減少が見込まれる
次は新型コロナウィルスの影響で主たる生計維持者の収入減少が見込まれる場合です。
具体的には以下の条件全てに該当する世帯の方が対象となります。
ア 今年の事業収入等の減少額が、前年の当該事業収入等の額の10分の3以上であること(事業収入等とは事業収入、不動産収入、山林収入、給与収入)
イ 主たる生計維持者の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
ウ 減少することが見込まれる所得以外の前年の所得の合計額が400万円以下であること
つまり、2020年(令和2年)の事業収入が新型コロナウィルスの影響で3割以上落ち込むことが条件ということです。
また、2019年(令和元年)の合計所得金額が1,000万円を超えていると対象外となります。
さらに他に所得が400万円を超えている場合も対象外となります。例えば事業所得が新型コロナウィルスの影響で大きく落ち込むものの不動産所得が別にあり400万円を超えているようなケースですね。
3割以上減少の計算は自治体によって異なる
ちなみに3割以上減少したのかどうかの計算の仕方は自治体によって異なっているようです。
たとえば大阪市は令和2年2月以降の任意の1ヶ月分の収入額×12ヶ月を今年の収入見込額として算定して昨年から3割以上減少しているのかを判断します。
岐阜市の場合には現在までの収入額と今年12月までの見込額を提出してその合計額を今年の収入見込額として算定して昨年から3割以上減少しているのかを判断しています。
また、岐阜市の場合には2020年が終わった段階で本当に3割以上減少していたのかを確認するとも明記されていますね。大阪市も実施するのかもしれませんが、WEB上には記載がありませんでした。
国民健康保険料の扱い
このケースはちょっと計算がややこしいです。
以下の計算式に当てはめて計算されます、
対象世帯の保険料額×(主たる生計維持者の減少が見込まれる前年所得金額 ÷ 対象世帯の前年の合計所得金額)=減免の対象となる保険料額
減免の対象となる保険料額×減免割合
減免割合は前年の合計所得金額で異なってきます。
前年の合計所得金額 | 減免割合 |
300万円以下 | 全部 |
400万円以下 | 10分の8 |
550万円以下 | 10分の6 |
750万円以下 | 10分の4 |
1000万円以下 | 10分の2 |
例えば前年の合計所得金額が750万円以下の方が減免対象となる場合には10分の4。つまり、4割の減免が受けられるってことです。
新型コロナウィルスの影響で事業の廃止、失業の場合
ちょっと扱いが異なってくるのが新型コロナウィルスの影響があり、事業等も廃止をした場合です。
この場合には以下のような取り扱いとなります。
前年の合計所得金額にかかわらず、減免の対象保険料の全部が免除
ただし、非自発的失業者(倒産、解雇で離職)にかかる軽減対象となる方は雇用保険の基本手当を受けられるため、給与収入の減少による減免は適用されないとのことです。
対象となる保険料
対象となる保険料は以下のとおりです。
令和元年度2月、3月期分と令和2年度分
多くの方はすでに令和元年2月、3月期分は納めていると思います。その部分は後日調整するとのこと。
また、岐阜市の場合には申請後、減免される対象者には8月に通知がいくとのこと。
すでに送られている国民健康保険料の納入通知書の支払い期限は6月末からありますからその後ですね。
そのため、一旦現在の納入通知書の金額で支払ってあとから精算という形になるとのことです。
国民健康保険料の減免を受けるための手続き
手続きは必要書類を提出するだけです。
なお、市役所等の窓口でも受付するとのことですが基本はどの自治体も郵送を希望しています。
必要書類
必要書類も自治体によって多少違います。
岐阜市を例に見ていきましょう。
- 国民健康保険料減免申請書
- 新型コロナウィルスの影響による事業収入等の収入申告書
- 新型コロナウィルス感染症減免の提出書類チェクシート
具体的な書類の中身については以下の岐阜市の特設ページを御覧ください。
>>https://www.city.gifu.lg.jp/item/45744.htm
なぜ、新型コロナウィルスの影響で事業収入が落ちたのかを文章で記載する「国民健康保険料減免申請書」と、2020年現在までの収入、それ以降12月までの見込額を記載する「新型コロナウィルスの影響による事業収入等の収入申告書」となっています。
また、申請内容によって以下の添付書類が必要です。
- 新型コロナウイルス感染症のり患を証明する書類(死亡診断書、医師の診断書など(写し可))
- 新型コロナウイルス感染症の影響が確認できる事業の収入状況がわかる帳簿、給与明細書など(写し可)
- 廃業届、休業届、退職証明書、解雇通知など(写し可)
収入状況のわかる帳簿というちょっと大きな括りなので判断が難しいところがありますが、売上が50%低下したことが給付の条件となっていた持続化給付金では提出書類が売上台帳や売上の総勘定元帳で対応となっていましたね。
おそらくこちらも同じような扱いになると思われます。
また、岐阜市は要求していませんが、大阪市や豊島区などではこの他に令和元度の事業収入等がわかる書類(確定申告書の写しなど)が必要となります。
このように多少自治体にルールが異なってきますので、詳しい必要書類等はお住まいの地区の市役所等にお尋ねください。
まとめ
今回は「新型コロナで事業収入が3割以上減少するなら国民健康保険料の減免が受けられるかも」と題して国民健康保険料の減免制度(新型コロナウィルスにかかる)についてみてきました。
前述したとおり、申請しないと当該減免の対象となりませんので該当する方は忘れずに申請するようにしましょうね。
本当は国がマイナンバー等で紐付けて自動で該当者は減免するみたいな仕組みになると便利なんですけどね・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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