令和2年分の年末調整から電子化することが可能になりました。
電子化すると会社側も従業員側もかなり楽になるんですよ。
ただし、始める前に準備が必要ですから今年からいきなり導入というのはなかなかハードルが高いのが現状です。
話に聞く限りですが現在提供されているシステム面でもちょっと問題があるとか・・・
そこで今回は来年度以降から年末調整を電子化するために今のうちからやっておきたい手続き及び準備を解説します。
年末調整を電子化するとなにが良いのか?
まずは今回の話の前提となる年末調整の電子化するとなにが良いのかを解説します。
電子化すると会社も従業員の楽になるんですよ。
今まで年末調整を税理士などに委託をしていた企業も自社でできるようになるかもしれません。
従来の年末調整
従来は基本的にすべての項目がアナログです。
従業員側の作業
まず従業員は以下の作業が必要となります。
保険会社等から控除証明書等を書面(ハガキ等)で受領。
それら資料を元に集計、計算し提出書類を作成。
前述の控除証明書等とともに勤務先に提出
年末の忙しい時期ですし、けっこう大変なんですよ。
1年に1回しか書かない書類ですから忘れますし、定期的にルールが変わりますしね・・・
また、控除証明書は意外に早く届くので無くしてしまうというケースも後を立ちません。
会社側の作業
また、会社側は以下の作業が必要です。
従業員の提出してきた書類を確認
間違えばあれば訂正依頼→受領
給料システム等へ入力
各種書類の保管(7年)
私も会計事務所や企業の経理部門に長くいましのたで実際にこの一連の作業を経験していますが、かなり大変なんですよ。
とくに確認して訂正依頼して・・・みたいな作業は締切に追われる状況ではかなりストレスです。
電子化した後の年末調整
電子化するといくつかの作業が自動化、データも電子化されます。
従業員側の作業
まずは従業員側の作業です。
保険会社等から控除証明書等を電子データで受領
年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに、住所・氏名等の基礎項目を入力し、受領した電子データをインポート(自動入力、控除額の自動計算)して年末調整申告書の電子データを作成
年末調整申告書データ及び控除証明書等データを勤務先に提供
電子化すると紙での作業がなくなりすべてデータ上のやり取りとなります。
まず控除証明等もデータで受領しますし、会社に提出する書類も紙ではなく年末調整控除申告書作成用ソフトウェアで作成します。
基本的に以前入力したデータ等は自動入力されますし、控除等の計算は控除証明書データを取り込むことで自動計算ですから間違いも少なく作業力もすくなくなりますね。
また、手書きも不要ですから作業量は段違いです。
さらに控除証明等もデータですから紛失してしまって・・・ということも起こり得ないのです。
ただし、年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(スマホ版もあり)を使いますので慣れない人にはちょっとハードルが高い部分も否めません。
会社側の作業
次は会社側の作業です。
従業員からデータ受領
データを給料計算ソフトに取り込む
各種書類の保管を不要にすることが可能(電子帳簿保存法適用必要)
会社側も大幅に作業が少なくなります。
基本的に従業員側でデータを入力してくれていますのでそれをそのまま取り込むだけで完了となるのです。
年末調整控除申告書作成用ソフトウェアを使っていますので間違いも起こりにくいでしょうから訂正などの作業が少なくなるはずですしね。
つまり、年末調整の電子化は会社にとっても従業員側にとってもメリットは大きいのです。
ただし、準備はそれなりに大変です・・・
年末調整を電子化するための手続き・準備
今まで見てきたように年末調整を電子化するメリットは会社側も従業員側も大きいです。
しかし、年末調整の電子化を実現するためには準備がそれなりに大変なんですよ。
順番に見てみましょう。
税務署への届け出が必要
まず、絶対やらなければならない点として税務署への届け出があります。
あらかじめ所轄税務署長に、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認を受ける必要があるのです。
とくに難しい書類ではありませんが忘れていると年末調整の電子化しての提出ができませんのでお気をつけください。
なお、提出時期等は特に定めていないとのこと。
電子化実施の方法を検討、準備
年末調整の電子化といっても方法はいくつかあります。
国税庁が提供しているソフトウェアを使う方法が一般ですが、市販の給料計算ソフトメーカーが提供しているものもあります。
ですからどのソフトウェアを使うのかを検討する必要があります。
今使っている給料計算のソフトウェアがあるならそれに合わせてしまうのがきれいかもしれませんが、このタイミングでマネーフォワードなどクラウド方式のタイプに変えてしまうのも良いかもしれませんね。
クラウド方式の給料計算ソフトだと給料計算に掛かる時間を劇的に減らせるんですよ。
また、給料計算ソフトによっては国税庁が提供しているソフトウェアを使って年末調整ができるようになっていないケースのありますからバージョンアップや改修が必要になるかもしれません。
そのあたりも確認しておきましょう。
従業員への周知、教育
今回の年末調整の電子化で一番問題となってくるのが従業員への周知と教育でしょう。
従業員が保険会社等から控除証明書などのデータを受け取ってもらわないといけませんし、年末調整控除申告書作成用ソフトウェアへ入力してもらわないといけません。
このあたりの周知や教育は少々時間がかかるでしょうから早めに行う必要があります。
少なくとも2ヶ月〜3ヶ月前には実施しておきたいところです。
マイナンバーカードを取得してもらいたいところ・・・
また、マイナポータルを利用するのにはマイナンバーカードも必要ですからそちらの準備をしておいてもらったほうがよいですね。
マイナンバーカードがなくてもできますが、あったほうが便利なんですよ。
マイナンバーカードがない場合は従業員は各保険会社などから1件ずつ控除証明書をダウンロードする必要があります。
しかし、マイナンバーカードがあれば一括でダウンロードが可能となりますのでかなり楽なんですよ。
ですからできればマイナンバーカードを従業員に取得してもらいたいところ。
一括でダウンロードできれば間違いは起こりにくいですからね。
ただし、利用するにはマイナンバーカードの取得はもちろん、ICカードリーダライタ(又はマイナンバーカード読取対応 スマートフォン)の用意のほか、マイナポータルを開設していること等が必要となります。
ですからこのあたりの教育も必要となるでしょう。
まとめ
今回は「来年度から年末調整を電子化するためにやっておきたい手続き、準備を解説」と題して年末調整の電子化についてみてきました。
新型コロナでテレワークが増えるなど管理部門の見直しの必要性もでてきている現状。
ぜひ年末調整も電子化できないのかを検討してみてくださいね。
導入するのは大変だと思いますが、稼働してしまえばかなり楽になるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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