中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金である「ものづくり補助金」
中小企業を支援する施策としてはかなり長い間続いています。
そんな「ものづくり補助金」ですが、大きな転機となりそうなルールが追加されます。
審査に口頭審査が追加されるというのです。
今回はものづくり補助金の口頭審査について見ていきましょう。
なお、今回の内容はものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠1.2版の公募要項に基づいております。
ものづくり補助金とは
まずは、今回の話の前提となるものものづくり補助金について簡単にご説明しましょう。
ものづくり補助金の目的
ものづくり補助金の目的は公募要項によると以下のとおりです。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
ものづくり補助金総合サイト
もともとは名前の通り、ものづくりを支援するための補助金でしたが、ここ数年は範囲が広くなり多くの業種の方が使える補助金として人気となっています。
ものづくり補助金の補助金額
ものづくり補助金は募集回により申請枠や補助対象経費、補助金額、補助率等が多少変動があります。
このブログを執筆している時点で最新の17次締め切りでの補助金額は以下の通りの条件ですね。
従業員数5人以下 :100万円~750万円
ものづくり補助金総合サイト 公募要項
6~20人 :100万円~1,500万円
21~50人 :100万円~3,000万円
51~99人 :100万円~5,000万円
100人以上:100万円~8,000万円
補助率は以下のとおり。
中小企業
補助金額が1,500万円まで 1/21,500万円を超える部分1/3
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者
ものづくり補助金総合サイト 公募要項
補助金額が1,500万円まで2/3
1,500万円を超える部分1/3
ものづくり補助金の補助対象経費
対象となる経費は以下の通り
出典:ものづくり補助金総合サイト 公募要項
ものづくり補助金の口頭審査の内容
それでは本題の口頭審査の内容について見ていきます。
口頭審査の対象となる事業者
今回の口頭審査ですが、すべてのものづくり補助金の審査が対象となるわけではありません。
公募要項には以下のとおり記載されています。
口頭審査は、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者を対象にオンラインにて実施いたします。
ものづくり補助金総合サイト 公募要項
補助申請額が一定規模以上の具体的な記載はありませんので、今の時点では不明です。
ただし、補助率が補助金額が1,500万円までと超える部分で区切ってあるので、そのあたりの金額から口頭審査の対象となりそう。(あくまで予想です)
あえて金額が明記されていないのは応募状況で金額を変えるのかもしれませんね。
大量に口頭審査をするのはマンパワーの面でも困難でしょうから。
口頭審査の内容
口頭審査では以下の点について審査が行われます。
本事業に申請された事業計画について、事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等の観点について審査いたします。
ものづくり補助金総合サイト 公募要項
その他、本事業の申請に係る意思決定の背景や事業実施に際しての事前のマーケティング調査等、計画書に記載のない内容についても伺う場合があります。
つまり、申請した事業計画の内容を口頭で確認するってことですね。
口頭審査の方法
口頭審査は以下の方法で行われます。
オンライン(Zoom等)にて実施
所要時間は1事業者15分程度
ものづくり補助金総合サイト 公募要項
意外と短いなって感じですね。
おそらくですが、今回の口頭審査は昨今横行しているコンサルタントや設備投資の業者に丸投げして補助金申請を行っている事業者を採択から外すことが目的かと思われます。
ですから短くても問題ないのでしょう。
丸投げで作成しているような事業計画かどうかは、事業者に直接ヒアリングすればすぐわかりますからね。
そのため、以下のようなルールがあるんですよ。
・審査対応者(申請事業者)の上半身を映していただきます。
・審査中の音声は録音
・審査は申請事業者自身1名が対応してください
・当該事業者において勤務実態がない者、事業計画書作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等の申請事業者以外の方の対応や同席は一切認めません。
・審査対応者が申請事業者自身でないことが判明した場合は不採択もしくは交付決定等の取消、補助金返還となる場合があります
ものづくり補助金総合サイト 公募要項
丸投げで作成した事業計画でなくてもそう疑われたら採択が難しくなりそう。
口頭審査を受ける方は事業計画書の内容をしっかり理解しておく必要が出てきそうですね。
逆に言えば自分で深く事業計画作成に取り組んでいる事業者の方なら難易度は高くないかと思われます。
まとめ
今回はものづくり補助金に口頭審査が追加されたことを見てきました。
おそらく事業再構築補助金などで経営コンサルタント等に丸投げした事業者が多く、事業仕分けで問題になったことが今回の変更のきっかけとなっていると思われます。
経営コンサルタントに丸投げでは補助金を出す意味があまりないと思っていましたので、個人的にはよい変更と感じていますね。
もともと、自治体の補助金などで対面での審査があるケースもありますしね。
今回の変更で、より意味のある事業者に補助金が行くようになることを願います。