AIの進展で「コンテンツSEOはもう古い」のか?

当ページのリンクには広告が含まれているものがあります
AIの進展で「コンテンツSEOはもう古い」のか?

2024年ごろから「AIが検索結果を丸ごと要約してしまう時代に、もうブログやオウンドメディアは意味がないのでは?」という声が経営者のあいだで急速に広がりました。

とくに Google の AI Overviews(旧 Search Generative Experience) が 2024 年 5 月に米国で本格展開し、2025 年 3 月には Gemini 2.0 搭載で世界へ拡大したことが、業界に “終わりの始まり” を感じさせた大きなきっかけです。

しかし結論から言うと コンテンツ SEO は「終わり」ではなく「進化」 のフェーズに入りました。

AI が検索体験を塗り替えているのは確かですが、検索自体の利用はむしろ増加し、競争の軸が「量産」から “自社独自の価値×AI 最適化” へシフトしています。

今回はAI時代のコンテンツSEOについて現場で使える具体策についてみていきます。

目次

AI時代で検索環境はこう変わった

AIの進展で検索環境が大きく変わったのは事実です。

主な変化は以下の通り。

主な変化概要貴社への影響
AI Overviews の常設化SERPs 上部に AI がまとめ回答を表示。クリック前に疑問が解決するケースが増加従来よりも “選ばれるサイト” と “参照されるだけのサイト” の二極化が進む
ゼロクリック検索の増加2024 年の調査では EU59.7%/米国58.5%がクリックなしで完結​流入数だけを KPI にすると下振れリスクが高まる
Google検索はむしろ成長2024 年、Google 検索回数は前年比+20%超で ChatGPT の 373 倍“検索離れ” の懸念より、AI で検索回数が増えている現実に着目すべき
2025年3月 Core Update人間中心・独自価値を重視するアルゴリズム更新が完了​テンプレ記事や自動生成だけのサイトは順位が下落しやすい

コンテンツSEOが行き詰まる理由

AI時代に突入したことブログやオウンドメディアなど多くのコンテンツSEOを意識したサイトが続々閉じています。

先日もgoo blogが2025年11月18日でサービス終了するとの発表がありました。

いつもgooサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。 「goo blog」は、2025年11月18日(火)をもちまして、サービスの提供を終了させていただくこととなりました。

出典:「goo blog」サービス終了のお知らせ

行き詰まっている理由としては下記が挙げられます。

情報のコモディティ化

ChatGPT をはじめ生成AIで “誰でもそれなりの記事” が書けるため、それなりの記事では差別化になりません。

共通情報はAI Overviews が吸収しちゃっているですよ。

※AI OverviewsとはGoogleのAIが検索キーワードに基づいて情報を要約し、検索結果ページのトップに表示する機能

ファーストビュー争奪戦

検索では上位ページとそれ以外ではアクセスが雲泥の差となります。

しかし、昨今はAI Overviews 自体がファーストビューを占有し、従来の 1 位表示でもスクロールしないと見えないケースが急増。

AI Overviewsの解答で満足してしまう方も増加しているのでアクセスが増えなくなっています。

ユーザー行動の短絡化

また、ユーザーの行動にも変化があります。

調査や比較を AI に任せることができるんですよ。

「おすすめの◯◯教えて」と指示 → そのまま購入・問い合わせへ

ネットサーフィンで商品を探す工程が丸ごと削減されている感じなんですよ。

ですから比較記事、レビュー記事なども読まれなくなってきています。

私がデロンギのエスプレッソマシンを購入したときの話

私も先日、デロンギのエスプレッソマシンを購入したのですが、

「デロンギのエレッタカプチーノトップが15万円なら買うべきか。別の機種のおすすめがあるなら教えて」

とChatGPT4.5(DeepResarch)とGemini(DeepResarch)に事前に相談していました。

長いので貼りませんが、かなり詳細のレポートを書いてくれて購入の即決ができました。

自分で調べてたら決断に至るまで1週間くらい掛かっていた気がします笑

Geminiの方の目次だけ書いておくとこんな感じです。かなりすごいレポートなんですよ。

1,はじめに
2.デロンギ エレッタカプチーノトップ(ECAM45760B)の現在の市場価格分析
 2.1. オンライン価格の調査結果
 2.2. 価格の妥当性評価
 2.3. 価格変動と入手可能性
 2.4. 中古市場の検討
3.デロンギ エレッタカプチーノトップ(ECAM45760B)のユーザーレビュー評価
 3.1. ユーザーレビューの概要
 3.2. カプチーノ機能に関する評価
 3.3. ユーザーレビューから得られる洞察
4.デロンギの他のエスプレッソマシンのラインナップ
 4.1. LatteCremaシステム搭載モデル
 4.2. ミルク泡立て機能の比較
 4.3. ラインナップ比較から得られる洞察
5.おすすめの代替機種
 5.1. デロンギ マグニフィカ イーヴォ ECAM29081XTB (または同シリーズ機種)
 5.2. デロンギ ディナミカ ECAM35055B (または同シリーズ機種)
 5.3. デロンギ エレッタ エクスプロア ECAM45055G (または同シリーズ機種)
6.岐阜県内でのデロンギ エスプレッソマシンの入手可能性
  6.1. 入手可能性の確認方法
7.エスプレッソマシンの一般的な選び方
8.結論と推奨事項

こんなレポートが簡単にできてしまうとわざわざネットサーフィンして商品選びをしなくなるでしょう。(自分で比較検討するのが好きな人は別ですが)

それでも検索流入を伸ばすための実践戦略

それではそのような状況で検索流入を増やすためにはどうすればよいでしょう?

一次情報+体験知を“厚く”載せる

まず、いちばん大事なのは一次情報と体験知を厚くすることです。

製品を自社でテストした数字、顧客インタビュー動画、失敗事例など AI が生成できない一次データを盛り込むってことです。

特に「導入前⟶導入後」の KGI/KPI 推移など具体的な数字などもあると良いでしょう。

AI に引用されやすい構造化マークアップ

構造化データを活用することでAIに引用されやすくするのも今後必要かもしれません。

また、箇条書き・ステップ解説・結論↔根拠のセットにするとAIが抜き取りやすくなるとも言われていたり。

マルチフォーマット戦略

ブログやWEBページなどのテキストベースだけでなく、動画(ユーチューブ、TIKTOK)、音声(ポットキャスト)、図解(Instagram、Xなど)で同時展開するのもよいでしょう。

ブランド名+指名検索を増やす

ゼロクリック時代でも、ブランド指名検索は 90% 以上がクリックに至ります。(SparkToro データをもとに試算)

指名検索を増やすことも重要ってことですね。(昔から言われていますが)

IR・ニュースリリースを出したり、SNSで話題になることでも増えます。

AI アシスタントの“推薦枠”を取りに行く

顧客の業務フロー内に記事 URL を残す(見積書テンプレにリンク、FAQ メール署名など)と AI が社内文脈で記事を引用しやすくなります。

また、最近は検索履歴と Gmail・Docs の文脈でパーソナル推薦が行われるようになっているそうですので、その推薦枠をとりにくことを意識するってことも必要でしょう。

AI時代のコンテンツSEOのあり方

AI時代のコンテンツSEOはAIをうまく使う、丸投げしないということが大事となります。

イメージは以下のとおり。

工程担当ポイント
アイデア出し人+AI ブレスト検索ボリュームと経営課題のクロス分析
ドラフト生成AI速度重視。一次情報部分は空欄で差し込み
ファクト追加取材・自社データを追記
SEO 校正AI見出し構造・キーワード露出最適化
最終チェックトーン&マナー、法的リスク確認

行動喚起は検索外で

チャットボット、LINE 公式、メール講座など コンバージョンは自社プロパティで完結させ、検索結果のクリック依存を軽減することも大事でしょう。

中小企業が今すぐできる 5 ステップ

中小企業がやるべき5つのステップをみていきます。

既存コンテンツを AI 視点で棚卸し

・経営・管理部門がよく社内共有する PDF、エクセル、議事録を洗い出し

・「引用されて価値が出る一次情報」をマーキング

“競合より 2 歩深い” 解説記事を 1 本リライト

・例:機能比較なら「選定チェックリスト」「ROI 計算シート DL 付き」まで付加価値をつける

構造化データと目次ジャンプリンクを実装

・プラグインで可能

・目次リンクは AI Overviews の引用ソースとして認識されやすい

ブランド検索を促す PR 施策を 1 つ追加

・ウェビナー開催 → 参加者に記事 URL 配布 → 参加者が指名検索

AI 生成 FAQ セクションをサイト全体に展開

・ChatGPT等 に過去問い合わせを学習させ、FAQ 草案を自動生成

・担当者が事実確認して公開 → “社内ナレッジ+AI” のキラーページ が量産できる

よくあるQ&A

ここからはよくいただく質問を見ていきましょう。

ChatGPT で記事を書くだけでは順位が取れませんか?

テンプレ生成のみでは 2025 年 Core Update の評価対象外になりやすいです。

必ず一次情報か専門的見解を挿入し、著者の経験を示すセクション を作りましょう。

AI Overviews の要約に入ると流入が減るのでは?

CTR は確かに下がりますが、被引用サイトはブランド想起が高まるため商談化率が上がるケースが多いです。

クリック数だけでなく、商談数・問い合わせ品質で評価すべきです。

外注記事を大量投入する戦略はもう無意味?

量産だけでは難しいですが、「自社独自データを外注ライターが整理する」形なら依然有効です。

外注は“編集” に近いポジションで利用しましょう。

私のもとにも外注ライターからの売り込みがちょくちょくきますが、その部分を訴求すると採用率あがるだろうにと思っていたりします。

まとめ

今回は「AIの進展で「コンテンツSEOはもう古い」のか?」と題してAIとコンテンツSEOの関係について見てきました。

AI は「検索→クリック→比較→決定」という従来ステップを短絡化します。しかし逆に言えば、一次情報と専門知見を持つ中小企業こそ、AI に要約される側=“一次ソース” になるチャンス が一気に広がったとも言えます。

・AI に引用される価値ある情報を持つ
・その情報を構造化し、検索エンジンが理解しやすい形で公開する
・流入後のコンバージョンは検索エンジン外で完結させる

この 3 点を押さえれば、コンテンツ SEO は “終わり” どころか AI 時代の最重要マーケ施策 となります。

今日からまず、既存記事に “あなたの会社にしかない一次データ” を 1 行でも追記するところから始めてみてください。

きっと AI もユーザーも、あなたのサイトに新しい価値を見出してくれるはずです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次