「確定拠出年金の運用に関する専門委員会報告書」公表
先日、「確定拠出年金の運用に関する専門委員会報告書」が厚生労働省から公表されました。
この書類は社会保障審議会企業年金部会 確定拠出年金の運用に関する専門委員会による8回の会議をまとめたものになります。
今回はこの中の35本制限の件についてちょっと考えてみたいと思います。
詳しくは下記の厚生労働省のページをご覧ください。
確定拠出年金の運用に関する専門委員会報告書~確定拠出年金の運用商品選択への支援~
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166816.html
社会保障審議会 (確定拠出年金の運用に関する専門委員会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=413946
運用商品の上限の設定(35本)を行う理由
今回の報告書で一番興味をもったのが確定拠出年金の運用商品の上限を35本とすることです。
この上限を決める理由として投資初心者は商品が多すぎると選択ができないとのことでした。
これは行動経済学でもよくいわれている選択肢が多すぎると選択そのものを諦めるという
「行動回避、先送りバイアス」によるものです。
この理論自体は実際そうだと思いますし、問題ないのですが
私が気になったのは制限が35本であるという点です。
アメリカの事例
まず、本数制限の前提としてアメリカの事例で下記のグラフのように
運用商品が増えるごとに加入者が減る
ことや
運用商品が増える毎に不利な商品を選ぶ人が増える
という結果があります。
出所:確定拠出年金の運用に関する専門委員会 第1回資料「確定拠出年金における運用の改善について」より
企業型確定拠出年金のデータ
そして以下の企業型確定拠出年金の例から不指図率が36本のところから確率高いじゃんというのが35本という根拠だそうです。
ただ、このデータ36本以上の事業主のサンプルが少なすぎてデータとしてどうなんだ?という感じです。
また、会議の展開を読ませていただいた感じだとはじめから35本が前提としてる感じでした。。
出所:確定拠出年金の運用に関する専門委員会 第5回資料確定拠出年金の運用商品の選択への支援(運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準等より
選択しやすさを求めるなら35本では多すぎる・・・
そもそもこの35本という数字はどうなのか。
個人的な意見を言わせてもらえれば、多すぎて商品選択できないならばその基準としては35本は多すぎです。
本当に選択してほしいならば、
国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債権、先進国債券、新興国債権、定期預金の7つでよいかと思います。
もし、他に追加でいれたとしてリートを国内と海外で入れるくらいで9商品あれば十分なんです。
もっと絞るなら国内株式、先進国株式、国内債権、先進国債券、定期預金の5つでよいのでは?という意見もあります。
商品が多ければ会議の中でも批判がでていたアクティブ商品をいれる必要があるでしょうしね。
逆にイデコ(個人型確定拠出年金)は商品数規制してほしくないな・・って思います。
イデコは自分からすすんで入っています。またイデコをはじめる方はある程度情報感度が高い人でしょうし選択の楽しみを残しておいてもよいのにと思います。この制度の先駆者であるイギリスも企業型は厳しい本数制限を設けていますが個人型は自由なんですよね。自分たちで金融機関を選べるわけで規制をする意味が見出せません。。。。私が入っているSBI証券は60数本ありますので半分近くにしないといけないという・・・・
たしかに企業型は強制的に入る場合が多く、金融機関を選択できませんので規制すべきだと思いますが・・・。
まとめ
今回の制限はなんか中途半端な感じがありますね。
投資初心者の方が選択しやすいようにといいながら35本は多いです。
先日でていた資料だと未だに6割の人がデフォルトの定期預金のまま運用しているそうです。
まずはそういった人たちにちゃんと選択できるように教育することが必要でしょうね。
しかし、それはなかなか一企業におまかせでは難しい気もしますし、政府主導で行っていただきないなと思います。
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