国民健康保険が大きく変わる
2018年4月より自営業の方などが加入する国民健康保険が大きく変わります。
今まで国民健康保険は「市町村」が保険者として運営していましたが、今後は「都道府県」が財政運営などを行うようになります。
そのため保険料などが大きく変わる可能性があるのです。
今回はこの国民健康保険の都道府県単位化について見てみましょう。
国民健康保険とは
国民健康保険は自営業の方や社会保険に加入していない労働者などが加入する健康保険です。
サラリーマンの方やその扶養者などが加入しているものとは違います。
国民健康保険が高い理由
サラリーマンから自営業者になった方がまず驚かれるのが国民健康保険の高さです。
サラリーマンの場合、健康保険の半分を会社が負担してくれていましたがそれがなくなることが大きかったりします。
自営業になればその会社が負担してくれていた部分の自分で負担することになります。
もう一つあります。
それが加入者の層です。
国民健康保険に加入するのは「自営業」「社会保険に加入していない会社で勤務する人」「高齢者」「無職」の方などです。
無職の方や高齢者の方も含まれますので平均すれば所得が少ない方が多くなってしまいますね。
また、高齢者の方は医療費が掛かる金額も多くなります。
そのため財政面が厳しくなり、所得のある自営業の方の負担が多くなってしまうのです。
市町村により差が大きい
また、市町村の財政状況により保険料が大きく違っていました。
少子高齢化が進んでいる地域と若者の多い都会では保険料の金額がかなり違うのです。
わたしが住んでいる岐阜市と名古屋市でも結構違いました・・・。
(それも1つの理由で若者が流出し、余計に少子高齢化が進むという悪循環)
国民健康保険の都道府県単位化
厚生労働省の統計データによると10年で医療費が1.3倍になっています。
さらに団塊世代が後期高齢者になる10年後にはさらに50%増が予想されています。
つまり、そうなればさらに市町村毎の財政に差が生じる可能性が高いのです。
その対策のため2018年4月より都道府県単位で税制運営を行うことになりました。
今までは市町村ごとに所得水準、医療費水準などを考慮して決定しておりましたが、
今後は県ごとに所得水準、医療費水準などを考慮して決定することになります。
ちなみに窓口は今までどおり市役所や町役場になります。
保険料はどうなる?
そのため、市町村によっては保険料が大きく変わることが予想されます。
例えば埼玉県ではこのようなニュースがでておりました。77%増って・・・
試算によると、1人当たりの保険料は県内の全自治体で7~77%増加する
産経ニュースより
兵庫県では
兵庫県は県内41市町の2018年度1人当たりの保険料基準額を算定した。
9割に当たる37市町で値上がりとなり、8%以上の増額となった自治体もあった
神戸新聞より
東京でも都内平均で保険料は26%アップするとの記事もでていました。
このように特に都市部に住んでいる方には影響が大きそうです。
今まで高かった地域は下がるところもありそうですが・・・
国民健康保険を減らす方法はあるのか?
そんな高くなってしまう国民健康保険を少しでも減らす方法はあるのでしょうか?
ちなみに所得税や住民税と違い個人型確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済で国民健康保険を減らすことはできません。
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それら方法と違い劇的に減らせることはできませんが少しでも減らすことができる方法をいくつかご紹介しましょう。
国民健康保険組合に入る
まず1つは国民健康保険組合に入る方法です。
これは国民健康保険が市町村(県単位に変更)ごとなのに対して、国民健康保険組合は同じ業種や職業の人達ごとに組織される組合となります。
現在、国民健康保険組合は全国に164組合あります。(建設32組合、一般39組合、三師92組合、全国土木1組合)
同じ業種の方たちしか加入できませんので一般の国民健康保険よりも負担金額が少なくなるケースがほとんどです。
自分の業種で加入できる団体がないか確認してみてください。
詳しくは下記記事をご覧ください。
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法人化
もう一つあるのは法人化しちゃうという手もあります。
法人化すれば健康保険は政府管掌健康保険か健康保険組合に加入することになります。
自分の会社の場合、会社が半分負担するといってもある意味自分のお金なので同じだろうと思われるかもしれませんが結構違うのです。
例えば、国民健康保険は世帯人数で保険料は変わるのですが、政府管掌健康保険や健康保険組合の健康保険の場合、人数を問わず被保険者の収入(標準報酬月額)のみで保険料が決まりますので、家族が多い人はより有利になる仕組みとなっています。
また、配偶者が働いていない場合には第三号被保険者となり、その方の国民年金保険料を支払う必要がありませんので家族全体の社会保険で考えると法人化した方が安くなるケースが多いです。
もちろん法人化すれば所得税が法人税になったりいろいろ変更点がありますのでそれらをトータルで考える必要はありますけどね。
政府管掌健康保険と健康保険組合でもかなり違う
ちなみに政府管掌健康保険と健康保険組合でも保険料やサービスがかなり違います。
わたしが会社勤めしていたころ政府管掌健康保険からIT系の健康保険組合に移行しましたが、会社は経費削減になり、従業員の負担も減って喜ばれました。
これは加入者の層による影響が大きくIT系の健康保険組合は若い加入者が多いため医療費負担が少ないことで保険料が少なく、サービスも充実させることができたのです。
世帯合併
地域にもよりますので必ず保険料が安くなるわけではありません世帯合併という方法で節約できる可能性もあります。
世帯合併とは2世帯住宅などで1つの家族で2つの世帯を持っている場合に1つに合併してしまうことです。
「平等割」という世帯単位にかかる保険料を減らすことができます。
また、世帯全体の年収が上限に達する場合も節約効果があります。(上限額は地区により異なります)
ただし、これにより他の制度への影響も可能性としてありますのでそのあたりも加味して考える必要はあります(保育園などの金額など)
クレジットカードで支払う
これも下記の記事に書いてありますがクレジットカードで払う方法も有効です。
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1%くらいですがお得に支払うことができます。
今まではクレジットカードで支払える自治体はすくなかったですが今回の都道府県単位化により拡大することを期待したいですね。
相談に応じてくれることも
また、災害や病気など何かしらの理由により前年と比べて所得が大幅に減少している場合は市町村に保険料の減免措置を申請することもできます。
もちろん審査がありますので全員が受け入れられるわけではありませんが、保険料の負担が大きい場合には相談してみましょう。
まとめ
今回の改正は特に都会に住む自営業やフリーランスの方にとっては大きな影響が予想されます。
また、今後も少子高齢化の流れは止まらないでしょうし、国民健康保険はさらに高くなることが予想されます。
今回ご紹介した減らす方法も検討していただいて上手に付き合っていく必要があるでしょうね。
最後まで読んで頂きありがとうございます。