近頃、ほぼ毎日全国どこかで「消費税の軽減税率のセミナー」の講師をしています。
先日、安倍さんが消費税の増税を正式に表明したこともあり、連日かなりたくさんの方が聞きにきていただいて大変ありがたいと同時にみなさん危機感を持っているのが伝わってきますね。そのセミナーの中で様々な事例をご紹介していますが、全ての業種の方の細かいところまではどうしても時間的制限があり、話せないのがもどかしいものがあります。
そんな消費税の軽減税率ですが国税庁から「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」なるものが出ているのをご存知でしょうか?昨日、久しぶりに内容が更新されましたのでご紹介しておきます。
私も早速確認してみましたが、セミナー後などに個別で質問いただくような内容もほとんど網羅されていますので一度確認するのがおすすめですよ。
消費税の軽減税率制度に関するQ&A
消費税の軽減税率制度に関するQ&Aは下記の国税庁のサイトからダウンロードできます。なかなかたどり着くのが大変なので直リンクしました・・・
もう少しわかりやすくして見つけられるようにして欲しいところです(笑)
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
最後のは軽減税率ではありませんが、軽減税率導入後4年で導入されるインボイス制度に関するQ&Aです。インボイスは消費者には直接関係ないこともあるのかほとんど報道されてもいませんのでそもそもの存在を知らない方も多いようです。
該当する事業者にはかなり大きな影響がある制度ですからぜひチェックしておいてください。
今回の更新で注目ポイント
それでは今回更新されたQ&Aで注目ポイントをいくつか見ておきましょう。セミナーの中でいつも話している内容が多く、そんなに目新しい点はありませんでしたが・・・
一の税込価格を表示する方法
個人的に注目がこちらです。こちらもセミナーでお話するのですが、かなり賛否両論がある方法ではあります。逆進性の解消という消費税軽減税率制度の導入目的が??ってなる感じもありますので当然といえば当然なのですが。しかし、これが個別事例集に載ったことは大変大きなことな気もします。この表示が主流になるのかな。
軽減税率では飲食店で店内で食べれば10%、持ち帰りや出前は8%となります。
つまり、同じものを食べても金額が違ってくるのです。そのため、店内飲食用の金額、持ち帰りや出前用の金額を表記するのが一般的な方法となります。
しかし、そうするのではなく以下のように処理する方法です。
事業者の判断により、テイクアウト等及び店内飲食の税込価格が同一になるようにテイ クアウト等の税抜価格を高く設定、又は店内飲食の税抜価格を低く設定した上で、当該一 の税込価格を表示することが考えられる。出所:国税庁 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」個別事例編 65ページ
つまり、持ち帰りや出前を値上げして10%の店内飲食と同じ金額にするってことです。ただし、内部的には8%、10%がそれぞれ変わってきますので税抜き金額をその注文パターンで変えるってことですね。
詳しくは個別事例集の65ページをご覧ください。
途中で持ち帰りに変更、タッパー利用などのケース
こちらもよく質問されるケースです。例えば店内飲食で余ったものをタッパーなどに入れて持ち帰ることができるお店があります。インド料理屋さんのナンとかよくありますよね。かなりのボリュームで食べきれませんので・・・
そのようなケースは外食という扱いで10%になるのか、持ち帰りとして8%となるのかということです。これが今回の消費税の軽減税率制度に関するQ&Aで明確に明記されました。
軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」とは、飲食設備のある場所において飲食料
品を飲食させる役務の提供をいい、「食事の提供」に該当するのか、又は「持ち帰り」とな るのかは、その飲食料品の提供等を行った時点において判定することとされています(改正 法附則 341一イ、軽減通達 11)出所:国税庁 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」個別事例編 21ページ
つまり、提供する時点が店内飲食ならば後から持ち帰りとなってもそのまま10%ってことですね。回転すしの場合なども同じですね。
コーヒーチケットの扱い
これが今回の更新の事例で一番個人的に面倒そうだな・・・と感じてしまった内容です。コーヒーチケットの扱いです。
コーヒーチケットとは先払いでチケットを買っておくと少しコーヒーが安く飲めるものです。今回の軽減税率が始まるとこの扱いがかなり面倒になりそうです。例えばコーヒーチケットを利用してコーヒーを注文する際には店内飲食だけでなく、持ち帰りや出前も選択できます。今回の軽減税率でいえば消費税は店内ならば10%、持ち帰りや出前ならば8%となります。先払いのコーヒーチケットではどうなるのか?という疑問です。今回の消費税の軽減税率制度に関するQ&Aでは以下の回答となっています。
ご質問のようなコーヒーチケットとの引換えによるコーヒーの提供は、顧客にそのコー ヒーチケットと引き換えにコーヒーを提供した時に消費税の課税の対象となります(基通9-1-22)。 このため、顧客にコーヒーを提供する時に、顧客に対して店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法により、軽減税率が適用されるかどうかを判定していただくこととなります。出所:国税庁 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」個別事例編 19ページ
これコーヒーチケット(物品切手)の発行は、消費税の課税の対象外てとなっているためです(基通6- 4-5)。しかし、コーヒーチケットを発行した際に、発行時の売上計上と 合わせて、消費税の課税の対象とする方法も継続適用を要件として認められてい ますが、店内飲食と持ち帰りの共用のコーヒーチケットでは、その発行時点において適用税率を判定することはできないのです。
このため、対策としては店内飲食用のチケッ トと持ち帰り用のチケットを区分して発行するといった感じになるのでしょうか。
まとめ
今回は「消費税の軽減税率制度に関するQ&Aが更新。興味深い事例がいくつか追加されていますね」と題して軽減税率制度の話を見てきました。もう制度が導入されるまで1年をきっていますし、そろそろ準備を始めてくださいね。私も連日どこかで軽減税率関連のセミナーを実施していますので近隣で開催の際はぜひお越しください。
読んでいただきありがとうございました。