MENU

個人型確定拠出年金(iDeCo)の中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)が始まりました。

当ページのリンクには広告が含まれているものがあります

本日5月1日から確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成 28 年法律第 66 号)が施行されます。

これには、運用商品の提供数の抑制(35本制限)やデフォルト商品を元本保障型以外にできるようにするなどいくつかの内容が含まれています。

今回はそのうち中小事業主掛金納付制度について見ていきましょう。

この制度出来たばかりなのもあり、まだまだいろいろ課題はある内容も含まれますが、従業員の方の福利厚生の一貫として導入を検討してみても良い制度だと思います。

※追記:中小事業主掛金納付制度はiDeCo+という愛称になりました。

目次

中小事業主掛金納付制度とは

中小事業主掛金納付制度とは企業年金を実施していない中小企業が、従業員の老後の所得確保に向けた支援を行うことができるよう、その従業員の掛金との合計が iDeCo の拠出限度額の範囲内(月額2.3万円相当)で iDeCo に加入する従業員の掛金に上乗せ(追加)して、事業主が掛金を拠出することができる制度です。

つまり、中小企業が退職金を準備する代わりや退職金の上乗せとして個人型確定拠出年金(iDeCo)を使うことができるようになるってことですね。

ちょっとややこしい制度ですので詳しく見ていきましょう。

まずはそもそもの個人型確定拠出年金(iDeCo)の復習からです。


個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

個人型確定拠出年金とは老後資金の上乗せをする仕組みです。

通称をiDeCo(イデコって読みます)といいます。

従来の年金や退職金はもらえる金額が一定の計算で決まっているものでした。

対して個人型確定拠出年金(iDeCo)は自分でお金を積み立てて自分で運用することになります。

つまり、自分の老後資金は自分でなんとかしなさいってことですね。

ただし、それだけではあまりにも冷たいので国が様々な優遇措置を与えているのです。

これがかなりの優遇なのです。

その優遇措置は大きく分ければ3点あります。順番に見ていきましょう。

所得税と住民税の節税

まず所得税と住民税の節税効果があります。

個人型確定拠出年金(iDeCO)は払った分だけ全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)が受けられます。

つまり、払った金額を所得から引いて税金を計算することができるため所得税と住民税の節税効果があるのです。

例えば月に個人型確定拠出年金(iDeCO)に2万円掛けたとすると、年間にすれば24万円分となります。

所得税率2割、住民税1割の人ならば24万円の3割である7万2千円分の節税効果が得られるのです。

自分が将来もらう年金を積み立てているだけなのに節税までできてラッキーすぎですよね。

運用益も無税

個人型確定拠出年金(iDeCO)では自分で運用することになります。

運用は主に投資信託で行うことになりますが、通常ならば投資信託の売却益や分配金で利益がでれば約2割の所得税がかかります。

しかし、個人型確定拠出年金(iDeCO)内ではその利益や分配金に所得税が掛かりません。

つまり運用益が無税ってことですね。

受け取るときも税制優遇

個人型確定拠出年金(iDeCO)は受け取るときも税制優遇があります。

掛けた時に所得控除、運用時無税で受け取るときに税金を課すというのが建前上なのですが、退職金控除公的年金控除が受けることができますので工夫して受け取ればよほど退職金が多い会社にお勤めでなければ無税でいけるケースが多くなると思います。

中小事業主掛金納付制度に加入できる条件

加入できる中小事業主の条件は全部で3つあります。

・従業員(使用する第1号厚生年金被保険者)が100名以下であること。
・企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金の いずれも実施していないこと。
・従業員の過半数で組織する労働組合又は、従業員の過半数を 代表する従業員に、中小事業主掛金を実施することについて同意 を得る(労使合意をする)こと

出所:iDeCo公式ページ 中小事業主掛金制度の概要より

また、掛金を追加で拠出できるのは個人型確定拠出年金(iDeCO)の加入者だけです。

当然といえば当然なのですが・・・

ということはまずこの制度を導入する前に社内で個人型確定拠出年金(iDeCO)への説明会なりを開いて加入者を増やしておく必要はありそうですね。

この制度導入と一緒でもよいと思いますが、個人型確定拠出年金(iDeCO)の手続きは結構長いこと掛かりますので早めがおすすめです。

中小事業主掛金納付制度の対象範囲

中小事業主掛金納付制度の対象者をどうするのかは、人単位でなく資格範囲で決めます。

具体的には「一定の職種」又は「一定の勤続期間」です。

また、資格範囲を定めない場合、個人型確定拠出年金(iDeCO)へ加入している従業員全員が対象となります。

一定の職種とは総合職、一般職、営業職、事務職などを指します。

部長、課長などの役職のことではありません。

一定の勤続期間はそのままですが、たとえば勤務期間3年以上とかですね。

中小事業主掛金納付制度の拠出額

企業が追加で拠出できる金額は1,000円~22,000円/月の範囲で設定し、加入者掛金額との合計が、5,000円~23,000円/月となるようにします。

ちなみに金額は1000円単位となります。

また、資格範囲を定める場合は、勤続期間10年未満5,000円/月、勤続期間10年以上 10,000円/月のように、資格範囲が異なれば、中小事業主掛金の額が異なっても構いません。

中小事業主掛金納付制度開始までの流れ

中小事業主掛金納付制度を開始するためには労使協議及び合意が必要となります。

具体的には下記のとおりです。

過半数の代表となる第1号厚生年金被保険 者(過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合を含みます。以下同じ。)に対し、中小事業主掛 金納付制度の実施について提案・協議を行います。

過半数の代表となる第1号厚生年金被保険者は、提案 内容に同意できれば、労使合意の手続きとして、書類に必要事項を記入・捺印し、事業主に提出します
出所:iDeCo公式ページ 中小事業主掛金制度の概要より

合意できればあとは事務手続きですね。

また、前述したように対象となるのが掛金を追加で拠出できるのは個人型確定拠出年金(iDeCO)の加入者だけですから説明会を開くなど個人型確定拠出年金(iDeCO)の加入者をふやしておかないとあまり意味がない一部の従業員だけの制度となってしまいますから注意が必要です。

その他細かい書類などの手続き方法はiDeCo公式ページ 中小事業主掛金制度の概要をご覧ください。

まとめ

今回は個人型確定拠出年金(iDeCo)の中小事業主掛金納付制度がはじまったお話でした。

人不足と言われてしばらくたちましたが一向に改善する感じはありません。

それらを少しでも緩和するためには福利厚生の充実は避けられないと思われます。

今回の中小事業主掛金納付制度は他の退職金制度と比較すると費用面、労力面とも導入しやすいでしょう。

面白い制度だと思いますのでぜひ一度検討してみてくださいね。

企業型確定拠出年金についてはこちらをご覧ください。

>>退職金として確定拠出年金という選択肢【企業型確定拠出年金】

最後まで読んで頂きありがとうございます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

岐阜県岐阜市在住、美濃加茂市出身で岐阜県・愛知県を中心に活動させていただいている経営コンサルタント(中小企業診断士・社会保険労務士)。財務面のみならず、WEBマーケティング、人事、労務、価格改定、管理会計など経営全般の改善を行うコンサルティングを行っている。セミナーでは全国の商工会議所、商工会、中央会、法人会、各種団体、企業様などで、のべ700箇所以上、25,000人以上、47都道府県すべてで登壇実績があり難しい制度をわかりやすく伝えるセミナーには定評がある。また、金融系WEBサイトを新規で立ち上げ、企画から制作、運営まで一人で行い年間1,000万を超えるアクセスを集める人気サイトに育てるなど幅広く活躍している。

目次